外交防衛委員会
平成17年04月12日
○喜納昌吉君 現在は、日本外交をめぐる重大な事態が起こっていると思います。条約に関しては後で触れるとして、まず、外務大臣に聞きます。
日本の安保理常任理事国入りは日本外交の悲願であり、大事な国益でしょうか。それを質問します。
○国務大臣(町村信孝君) 委員御承知のように、本年、国連全体の改革というものについて昨年来からずっと議論が行われてきております。その中身について、最近時点で申し上げるならば、三月にアナン事務総長から国連改革の全容について報告書が出され、いよいよ本格的な議論が始まっているという状況であります。その中で一つの大きなテーマは安全保障理事会の在り方でございまして、その中にはいろいろな要点はありますけれども、常任理事国あるいは非常任理事国の数をどうするのかということが大きなテーマになっているのは委員御承知のとおりであります。
日本といたしましては、この安保理の常任理事国入りというものを、昨年の九月の国連総会において小泉総理からその責任、役割を果たす用意ありという意図表明をして以来、それの実現に向けて今様々な努力を行っているところでございまして、この常任理事国入りというものは日本外交にとって大変大きな重要テーマであるというふうに認識をいたしております。
○喜納昌吉君 質問します。
さきに世界の地域別に常任理事国入りの運動、キャンペーンをする外交使節として大使経験者らを任命しましたが、これも悲願実現、国益実現のための布石ですか。
○国務大臣(町村信孝君) お答えを一言で言えば、それはそのとおりでありまして、それぞれの外交官としての様々な勤務経験等を生かして、アジアあるいはアフリカあるいはヨーロッパあるいは中南米、それぞれ地域に特段に深い造詣もあり、また人的なネットワークも持っておられるそういう方々を、活躍をしてもらって常任理事国入りの環境整備を大いに活動してもらいたい、そういう趣旨で任命をしたところでございます。
○喜納昌吉君 質問します。
日本はインドとともにアジア諸国の代表格として常任理事国を目指すと、目指しているのですか。
○国務大臣(町村信孝君) 現在、アジア地域という意味では中国が常任理事国をしております。
当初の、今の常任理事国五か国というのは必ずしも、どこまでその地域というものを意識して現在の五か国が決まっているかどうか、必ずしも定かではありません。むしろ、第二次大戦中の一番枢要な国々が五つ選ばれているという状況。その後、例えばアフリカも当初、国連が設立した当初と比べると、今やその数も五十数か国ということで大変増えてまいりました。アジアの国もまたしかり。非常に独立国が増え、したがいまして現在は百八十か国を超える大変な国の数になっている。
そういう実情だけを見ても、アジアから常任理事国が一か国というのはいかにもバランスが悪いのではないだろうか。例えば、アフリカも五十数か国あると思いますが、常任理事国には一か国も入っていないという姿で本当にいいんだろうかといったような、地域バランスという観点から見てもいかにも今の五か国というのはアンバランスがあるということが言えるんだろうと。
そういう意味で、私は、アジアの声をより大きく国連あるいは安保理の意思決定に反映をさせるという観点から見ても、日本が常任理事国になることがアジア全体にとっても必要なことであると、かように考えているところでございます。
○喜納昌吉君 常任理事国入りに必要な国連規則を簡単に説明してください。
○政府参考人(遠藤善久君) お答え申し上げます。
常任理事国入り関連の国連規則の内容という御質問かと存じます。
まず、国連憲章第二十三条におきまして安全保障理事会の構成が定められ、特に常任理事国すべての国名が明記されていることから、新たに常任理事国を拡大するためには国連憲章の当該部分を改正することが必要となります。
他方、国連憲章の改正を行うためには、憲章第百八条において改正手続が定められておりまして、すなわち、「総会の構成国の三分の二の多数で採択され、且つ、安全保障理事会のすべての常任理事国を含む国際連合加盟国の三分の二によつて各自の憲法上の手続に従つて批准された時に、すべての国際連合加盟国に対して効力を生ずる。」旨、定められております。
○喜納昌吉君 現在の常任理事国のうち、日本の常任理事国入りに賛成している国を挙げてください。外務大臣。
○政府参考人(遠藤善久君) お答え申し上げます。
アジア、アフリカ、ラ米、欧州と、各地域でこれまで約九十か国が公に我が国の常任理事国入りを表明しております。また、これに加えまして、公以外でも、二国間の文脈で我が国の常任理事国を支持している国が多数ございます。
○喜納昌吉君 米国は日本の加入に賛成しているとのことですが、米政府は七日に安保理拡大の九月決着に反対を打ち出し、この点では中国と同じ姿勢になったわけです。日本の常任理事国入り戦略の行方に暗雲が立ち込めたと見受けますが、外相はどう受け止めていますか。そして、打開策はありますか。
○国務大臣(町村信孝君) 七日の日にアメリカは事務総長報告に関する国連総会審議においてステートメントを行っているわけでありますが、安保理改革についてアメリカは、安保理の効率性が強化されるとの前提の下で安保理改革を支持すると述べました。その上でアメリカは、人為的な期限を設けることなく、以前にも述べたとおり、幅広いコンセンサスに基づき改革を前進させていく考えであると、こういう発言をしているわけであります。
日本としては、もう既に安保理の問題、先ほど申し上げましたように、かなり長い間議論をされてきておりますし、世界的に見ても改革の機はかなり熟してきているという考えでございます。実際に、今次の国連総会においても百六十六か国もの加盟国が安保理改革の必要性というものに言及をしております。内容はそれぞれ違うところはありますが、改革が必要であるということについてのコンセンサスは私はある、こう思っております。そういう意味で、日本としては、この事務総長報告において述べられておりますとおりでありますが、安保理改革については九月の首脳会合、これがニューヨークで開かれるわけでありますが、その前に決定を行うべき問題であり、コンセンサスは望ましいが、コンセンサスが決定を遅らせる理由となってはならない、このようにアナン事務総長の報告ではあります。
したがって、アメリカが言っている趣旨について米政府に照会もしてみたけれども、みたわけでございますが、これに対してのいろいろな議論の中から、私どもの理解は、この幅広いコンセンサスというのはこの百九十一か国すべてが同意しなければならないという趣旨ではない、もちろんいろいろな議論の結果、幅広い国、一か国でも多い国々がそのコンセンサスがあった方がいいということは、それは日本だって同じだと思いますが、ただ、いわゆる国連で言うコンセンサス方式というと、それは要するに全会一致ということを意味するので、そうでなければならないという趣旨でアメリカが言ったわけではない、こう理解をいたしております。
また、人為的な期限を設けることはないだろうということについても、十分な議論を行ってから決めるべきだという一般論を述べたという趣旨であるということでありまして、その事務総長報告において述べられております安保理改革に係る決定を九月の首脳会合の前に行うべきであるというこの事務総長報告のラインを否定するものではないと、こういうふうに米側とも共通した理解を持つに至っております。
いずれにいたしましても、この常任理事国、先ほど手続で御説明をしたように、五つの常任理事国が一か国でも反対をすればそもそも国連憲章の改正が成立をしないということでありますので、そういう意味で、今後ともアメリカを始めとして五か国、五つの常任理事国と緊密な意見交換を行いながら協力を進め、そしてこの安保理改革、国連改革というものを実現をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
○喜納昌吉君 小泉首相は、常任理事国入りに向け、日本の立場を訴えるため絶好の機会だったローマ法王の葬儀に参列しませんでした。一月のダボス会議、世界経済フォーラムにも、昨年のアラファト議長葬儀などにも首相は出席していません。外交的にまずいと思いますけれども、首相はアメリカに対して遠慮でもあるんでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) ダボス会議に出る出ない、ローマ法王の葬儀に出席するしないに関して私どもはアメリカと相談したことは一度もございませんし、また相談すべき内容でもない。これはあくまでも日本の必要性、日本としてどう取り組むかということでありまして、別にアメリカに遠慮するとかしないとか、そういう事柄とは一切関係ございません。
一つには、例えばダボス会議、一月の下旬ごろでしたでしょうか、毎年そうなんでありますが、ちょうど国会が開会をし予算委員会と、衆議院予算委員会とどんぴしゃりぶつかる時期でありまして、実際これ行くというのは至難の業であります。たしか、ちょっとどなたか忘れましたけれども、中川経産大臣が行かれたときもゼロ泊三日といったような相当信じられないようなスケジュールで現地に三時間滞在をして帰ってくるとか、そんなような日程を組んで行っております。全く不可能ではないのかもしれませんが、できればその辺は国会の御理解も得ながら、そういう重要な会議に参加できたらいいんだろうなと、こう思っております。
ローマ法王の葬儀については、私は、川口総理大臣補佐官を特派大使として派遣をしたことについて一部に御意見があるようでございます。確かに諸外国、それこそブッシュ大統領始めいろいろな主要な方々が行っていることもよく承知をいたしております。日本は今までこのローマ法王の御葬儀に当たりましてはバチカンの大使が出席をするという対応をしていたわけでございますけれども、今回は現地大使ではなくて総理補佐官、前外務大臣を派遣をするという形で十分私どもの、日本国民のヨハネス・パウロス二世への弔意というものは十分表すことができたと、こう思っております。
また、川口特派大使は、葬儀の終了後、ジャヤクマール・シンガポール副首相、あるいはスラキアット・タイ副首相、シャローム・イスラエル外相等とそれぞれ会談を行いました。もちろん大変限られた時間ですから、長い時間の会談ではございません。また、葬儀の場において各国の首脳と立ち話を行うというようなことでございます。
そのような意味で、まあゆっくりと安保理改革の話をできるような雰囲気の場であるのかどうなのか、私も行ったわけじゃないからよく分かりませんけれども、そう突っ込んだ個々のテーマについて意見交換をするという場面では余りないのではなかろうかなと思ったりもいたします。
しかし、私は、全体としては川口特派大使、大変立派に役割を果たしていただいたものと、こう受け止めているところであります。
○喜納昌吉君 分かりました。
持ち時間が少ないのでなるべく、持ち時間が少ないのでなるべく端的に返してくれれば有り難いなと思っています。
外務省は、法王葬儀に参列するよう首相に進言しなかったんですか、あのような形では。こうした方がいいとか。
○国務大臣(町村信孝君) 官房長官と相談をした結果、官房長官が総理とどういう御相談をされたか、それは私はよく分かりませんけれども、官房長官と相談をして川口補佐官ということを最終的に決めたわけであります。
○喜納昌吉君 ちょっとまたたくさん聞きたいんですけれども、どうも持ち時間が足らなそうなので飛ばします。
中国について聞きたいんですけれども、今回、中国についてですが、日本の常任理事国入りに反対する可能性があるわけですね、中国は。どうですかね。
○国務大臣(町村信孝君) その可能性があるかと言われると、それは可能性はゼロから一〇〇%で、絶対あるとも絶対ないともちょっとお答えするのは難しいわけであります。
中国自身も、安保理の改革の必要性あるいは国連改革の必要性というものはこれまで累次発言をしているところでありますが、特に中国政府が、安保理について言うならば、途上国の代表性を向上させることが重要であるというような観点からの発言は今まで公にしておりますが、具体的にどの国がなるのが賛成か反対かということについて発言をしたことはないと、私どもはそう理解をいたしております。
○喜納昌吉君 当然、その日中間に首脳同士の訪問外交が途絶えている状況をどう判断しますか。
○国務大臣(町村信孝君) 現実にそれぞれの国を訪問するという形の往来は途絶えているのは御指摘のとおりでございます。
しかし、昨年一年間を取りましても、チリで行われましたAPEC会合で胡錦濤主席と、またその後、ラオスで開かれましたASEANプラス3の会合で温家宝首相と、それぞれかなり率直な突っ込んだ意見交換というものも行われておりますので、そういう意味で首脳間の意思疎通は私はできていると、こう思っております。
さらに、両国首脳がそれぞれの国を訪問するということは、それは望ましいことだと、私もそう考えておりますので、それがまた実現できるような様々な外交努力はしていきたいと、こう考えております。
○喜納昌吉君 原因として中国は小泉首相の靖国参拝を挙げていますが、ならば、日本の首相が自ら、常任理事国入りという国益達成に反する行動を取っていることにはなっていません。
○国務大臣(町村信孝君) さっき申し上げましたとおり、中国が日本の常任理事国入りに反対をするという発言がない以上、したがって、それと靖国との関係がどうかという御質問があっても、それはちょっとお答えしづらいわけであります。
確かに、中国は小泉総理の靖国参拝について反対をしているということは、これまでの首脳会談でのやり取り等でもそれは明らかでございます。これに対して小泉総理は、これは国会でも何度もいろいろな形での御質問にお答えをしているとおりでありますが、結論としては適切に対応するということでございますから、私どもとしては、小泉総理が今後とも適切に対応されるものと、こう理解をしております。
○喜納昌吉君 近隣諸国との歴史的あつれきが未解決のまま常任理事国入りを目指すのは外交上準備不足ではないかと思いますが、外相、どうですか。
○国務大臣(町村信孝君) 恐縮ですが、ちょっと質問のところ……。
○喜納昌吉君 ちょっと、時間がないから急に早口になってしまって。
何というんですかね、近隣諸国とのそのあつれきが未解決のまま常任理事国入りを目指すのは外交上準備不足ではないかという思いがありますね。
○国務大臣(町村信孝君) 近隣諸国との関係をより良いものにしていく、これはもう常任理事国入りがあろうとなかろうと外交上非常に重要なテーマであることは委員が御指摘をされたとおりだと、私はそう思います。確かに、ただいまの瞬間を見ると、日韓関係あるいは日中関係、なかなか容易ならざる事態であると私も認識をしております。
ただ、例えば日韓関係について申し上げるならば、先ほど御報告を申し上げましたように、韓国の外務大臣と、先般、一時間半以上お話合いもいたしまして、そのほかの非公式の場でも話合いをして、今後、今の状態をより良いものにしていくきっかけはできたのではないかと、こう思っております。また、先方も、今行っております日韓友情年の様々な交流事業、あるいは今年前半に日本の総理大臣が韓国を訪問するという、このいわゆるシャトル首脳外交というものは継続をしていこうということで日韓、合意をしております。
そういったことを積み重ねることによって近隣諸国とも良い関係を築く、そういう中から常任理事国入りというものを実現をしていくことは、そうした外交努力の中で当然行わなければならないことだと、こう思っております。
○喜納昌吉君 日韓両国の間では歴史の専門家が話し合って共通の理解を探り出す努力を続けてきましたが、日中間に同じような組織をつくる考えはありませんか。
○国務大臣(町村信孝君) 委員御指摘のように、日韓の間では、歴史共同研究ということでこの三年間ほど専門家が多数集まって議論をしてまいりました。つい先般、最終的な会合が行われ、近いうちに報告書が提出されると、こう聞いております。
同じようなものを中国との間でもやったらどうかという御意見でございます。一つのアイデアとして受け止めさせていただきますが、現実には外務省に約四千万円ほどの日中間の知的交流を、八千万円の知的交流を行うという予算がありまして、これはいずれも日中共同で研究をするという予算でございます。
その中で、例えば平成十六年度採用案件の中には、協調的な日中関係の構築を目指して、歴史の省察から未来像の提示へというような予算が採用されておりまして、こういう形で知的交流の中の非常に重要な部分として歴史問題に関する様々な共同研究というものが行われているということでございますが、歴史の共同研究ということに特に着目して日中間にそういうものをつくるという考え方はあり得ると、こう思っておりますので、これも一つ検討材料にさせていただきたいと思っております。
○喜納昌吉君 現在、日本は、拉致、北方領土、靖国、竹島、尖閣列島などの問題が噴き出しています。BSE問題も、深く掘り下げれば、前述した問題同様すべて歴史に根差していると思います。
日米同盟に気を遣い、BSE問題には甘く、竹島や尖閣列島問題には辛いのでは外交上バランスが悪いと思いますが、外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(町村信孝君) 日米関係、日米友好というものが日本の対外関係の重要な基盤であるということは、私は正しい選択をしていると思います。
ただ、だからといって、今委員、BSEに、アメリカに甘くと、こうおっしゃいましたが、もし本当に甘いのであれば、アメリカからこれだけの強い要求が来るはずがないのでありまして、この問題はこの問題として、私どもは食の安全性という問題から、日本独自の考え方で今、安全委員会を中心に作業がいろいろ進められているということで、パブリックコメントを今聴取している段階だと、こう思っております。
そのような意味で、特定の国に辛く特定の国に甘くというような言われ方を今委員されましたから、私どもはそういうことではなくて、それぞれの国に対して主張すべきはきちんと主張をする、そしてそれぞれの国と友好関係を築くためにそれぞれ努力をするということで外交は展開をしているところであります。ただ、その基盤としてやはり私は国際協調と並んで日米関係というものがその基盤にあるという考え方は、それは日本の外交の基軸でございますから、それはそれとしてしっかりそれを保持しながら今後事に当たっていく必要があるだろうと考えております。
○喜納昌吉君 時間がないので譲ります。どうもありがとうございました。
