憲法調査会
平成17年04月06日
○喜納昌吉君 今年は日露戦争百年であります。当時の日本は、日露戦争を境に軍閥が台頭し、日本国家をむしばむ勢力となり始めました。軍閥は日本の国家を守るということで大きく勢力を伸ばし、その考えに従って学校教育も道徳もすべて組み立てられていったのです。その結果、第二次世界大戦に突入し、その延長線上にある現在の日本国憲法がアメリカから押し付けられたという自民党の改正議論が先行しているような気がします。
アメリカ合衆国北部に、FBIも踏み込めず、自前のパスポートを発行するインディアンの独立国、イロコイ連邦があります。十二世紀に形作られたイロコイ連邦は、徹底した平和主義と全員一致原則の民主制を確立しており、フランクリンやジェファーソンなど、十八世紀後半のアメリカ建国の立て役者たちに大きな影響を与え、合衆国憲法の源流はイロコイ民主制に原型があると言われています。また、フェミニズム、エコロジーなど近現代の代表的思潮もイロコイ社会に源流を見ることができます。日本国憲法制定の本質は、アメリカ先住民から継承されたものが濃いのです。
現在の日本が抱える問題は、竹島、尖閣列島、北方領土、靖国問題、拉致問題など、すべてが歴史問題です。我々は、アメリカの憲法の歴史を見極め、日本国憲法の歴史を見極めることによって、現在の変わりつつある安全保障環境を見極める力を持つことができるようになることでしょう。そのかなめとなる憲法については、慌てずじっくり議論を深めていく必要があると思います。
まず、米国による押し付け憲法だから改憲しなければならないと言う者は、今、米国から、集団的自衛権、まあ事実上は日米合同軍事展開確保のために改憲が必要と、米国の外圧で物を言っているのではないか、つまり改憲必要論も米国の押し付けの要素が濃厚だということです。
憲法九条は、日本軍侵略によって幾多のアジア人、日本人の命が失われたこと、また広島、長崎への原爆投下という悲劇によって生まれた。開戦した軍国主義を反省せずに改憲論を叫ぶのは筋違いではないかと思います。米国が主張する人道、人権を守るため戦おうとか、民主化のために圧政を倒す、国際テロリズムの温床をつぶすといった先制攻撃論に根差す正しい戦争の論拠は乏しい。だれが正しいと公平な立場で証明できるのか、それは極めて難しい。米軍が正しい戦争だと主張して世界じゅうの戦争をしたい国、地域に攻撃を仕掛ける場合、自衛隊は現在の英軍のように米軍に従って出動することにならないか、これが想定できる最も危険な局面と思います。したがって、百年後の日本のために、安易に憲法九条を変えようなどと主張するのは非常に危険だと私は思っています。
どうもありがとうございました。
