行政監視委員会
平成21年06月24日
○喜納昌吉君 最初に、日米間の密約について質問します。
東京地裁の杉原裁判長は、六月十六日、一九七二年の沖縄施政権返還に伴い日米間で交わされた密約文書をめぐる情報公開訴訟の第一回口頭弁論で、文書を保有していないという主張をする国側、つまり政府、外務省に対し、その理由を合理的に説明する必要があると指摘した上で、次回口頭弁論までに回答するよう要求しました。
外務大臣、杉原裁判長からこのような要求が出たことをどう受け止めていますか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 六月の十六日に、本年三月に国を被告として提起をされました情報公開に関する行政事件訴訟の第一回口頭弁論が東京地裁で行われました。
本件情報公開請求に対する不存在による不開示決定は、情報公開法に基づき適切に判断して行ったものでございます。本件は訴訟係属中でございまして、詳細についてはコメントを差し控えたいと思いますが、裁判の場におきましても、政府の立場をしっかりと説明をし、適切に対応していきたいと考えております。
○喜納昌吉君 今のお答えは、要求に正面からこたえるということですか。
○委員長(山下栄一君) もう一回、喜納さん、お願いします。
○喜納昌吉君 今の答弁というのは、その裁判長の問いに対して正面からこたえるというお気持ちですか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 今御答弁申し上げましたけれども、この訴訟の、係属中でございますので、詳細につきましてはコメントを差し控えたいと思いますけれども、私どもといたしましては、裁判の場におきましても、これはしっかりと政府の立場を御説明をして、適切に対応していきたいと、そういうふうに思っているところでございます。
○喜納昌吉君 言っていることがはっきり分からないんですけれども。
密約があった当時の交渉責任者、吉野文六元外務省アメリカ局長は、沖縄の施政権返還の見返りに本来米国が支払うべき土地の復元費用を日本が肩代わりしたという密約があった事実を二〇〇六年に認めています。杉原裁判長は国側に対し、吉野氏を証人として法廷に招くよう原告側に促しました。
もう一つ、別の密約問題で質問します。
共同通信が五月三十一日にスクープし、東京新聞などが六月一日に報じた記事があります。一九六〇年の日米安保条約改定に際し、核兵器を積んだ米軍艦船、航空機の日本立ち寄りを黙認することで合意した核持込みに関する密約を外務事務次官ら外務省中枢官僚たちが引き継いで管理し、官僚側の判断で橋本龍太郎、小渕恵三ら一部の首相や外相にだけ伝えていたことが四人の次官経験者の共同通信への証言で明らかになっております。
政府の長年の主張を覆す証言になっているんですね。非核三原則を国是とする政府が、有権者、国民を長年だまし続けたことになるわけなんですけれども、外務大臣、元次官たちの証言をどう受け止めているのか、よろしくお願いします。
○国務大臣(中曽根弘文君) 最初の御質問でございますけれども、沖縄返還国会の当時から歴代の外務大臣が一貫して繰り返して御説明申し上げておりますとおり、沖縄返還に際しましてのこの支払に関する日米間の合意は沖縄返還協定がすべてでございまして、密約は一切存在しないわけでございます。先ほど、不存在による不開示と、そういうふうに申し上げましたけれども、これまで累次の機会に関連すると思われるファイルを調査いたしましたが、密約の存在を示す文書は見付かっていないところでございます。
なおまた、外務次官経験者などによります密約の存在についてのお話がありましたけれども、御指摘の発言そのものにつきましては承知をいたしておりますけれども、政府といたしまして一個人の著述、発言等について云々することは適当でないと考えておりますが、米軍によります我が国への核持込みは、日米安保条約第六条の実施に関する交換公文、いわゆる岸・ハーター交換公文でございますけれども、これにおける事前協議の対象となっているわけでございまして、米国政府から我が国政府に対しまして事前協議の申入れが今まで行われたことはございません。米国政府も、最高レベルを含めまして、我が国の立場、関心を十二分に理解をしているということで、我が国政府といたしましては、そういう核持込みの事前協議がない以上、核持込みがないことについて全く疑いを有していないところでございます。
また、政府が従来から申し上げておりますとおり、御指摘のような密約は存在しないわけでありまして、先ほど申し上げましたけれども、この点につきましては、歴代の総理大臣及び外務大臣がかかる密約の存在を明確に否定をしているところでございます。
○喜納昌吉君 官僚の秘密主義に政府首脳が丸め込まれているというのが我々の感覚なんですね。もしそうであるなら、国が非常に誤った方向に導かれている実態があるんですね。
もしそうでないということを大臣おっしゃるならば、この元の官僚、事務次官なんかは非常に、単なるうそを述べているということなんですか。よろしくお願いします。
○国務大臣(中曽根弘文君) 先ほども申し上げましたけれども、政府といたしましては、これはもう繰り返しになりますけれども、御指摘のような密約は存在しないと、そういうことでございますので、事務次官の発言につきましては、私どもが一々云々することは適当でないと考えております。
○喜納昌吉君 大臣に、それでは西松事件についてちょっと質問します。
大臣に確認したいんですが、五月二十九日、ニューヨーク・タイムズは、東京新聞が小沢代表代行と同様の献金を受けていた自民党議員の調査報道をしたことで検察から三週間の出入り禁止処分を受けていたことを報じています。法務大臣、これは事実ですか。
○国務大臣(森英介君) 特定の新聞における個別の記事について、法務大臣としてコメントすることはございません。
あくまで一般論として申し上げれば、検察当局は事件報道の重要性を深く理解し、報道機関の報道の自由を十分に尊重していると考えております。
○喜納昌吉君 報道の自由を尊重している、これは私から見ると言論の統制という感がするんですけれども、大臣は本当にそう思っているんですか。法務大臣。
○委員長(山下栄一君) もう一度、済みません、喜納さん、お願いします。
○喜納昌吉君 言論の尊重という言葉をお使いになったんですけれども、私から見れば言論の統制に感じるんですけれども、大臣はそう思っているんですか、本当に。
○国務大臣(森英介君) それは主観の相違でありまして、私は全く言論を尊重しているものと思っております。
○喜納昌吉君 次に、西松建設ダミー団体経由で自民党所属の二階俊博経済産業相のパーティー券を大量に購入した問題について質問します。
東京地検は、さきに政治資金規正法違反を問うには嫌疑不十分として不起訴処分にしたんですね。その結果、世論が不公平だと反発したことは記憶に新しいところです。
検察審議会は、六月十六日付けで二階派について不起訴不当を議決しました。法務大臣、この議決をどう受け止めていますか。
○国務大臣(森英介君) 委員のおっしゃった検察審議会は恐らく検察審査会のことだろうと思いますけれども、六月十六日付けで検察審査会がお尋ねの事件につきまして起訴相当あるいは不起訴不当の議決をしたということは承知をいたしております。
個別の事件における検察審査会の議決について、法務大臣としてコメントすることは差し控えさせていただきます。
なお、検察当局においては、議決を踏まえ適切に対処するものと承知をいたしております。
○喜納昌吉君 いつもそういう同じ返答になるんですけれどもね。
民主党が設置した政治資金問題三者委員会の報告書には、今回の事件に関し、法務大臣は、高度の政治的配慮から指揮権を発動し、検察官の権限行使を差し止め、あえて国民の判断にゆだねるという選択肢もあり得たと考えられるとありますが、この指摘について法務大臣の見解を聞かせてください。
○国務大臣(森英介君) 今御指摘のありました政治資金問題を巡る政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会の報告書に御指摘のような記載があることは承知をいたしております。
しかし、私は、検察権が行政権に属することによる法務大臣の責任と、検察権が司法権と密接不可分な関係にあって、司法権の独立を確保し刑事司法の公正を期するために検察権の独立が要請されることとの調和を図るという検察庁法第十四条の意義をしっかりと受け止め、検察当局に全幅の信頼を置いて、個別の事件の捜査や処理について検察の捜査に不当な制約を加えるような指揮権の行使は毛頭考えておりません。
それどころか、御指摘のような高度な政治的配慮に基づく指揮権の行使は検察権の独立を損ない、検察権行使に対する政治的介入につながりかねないおそれがあり、全く不適当であるというふうに思っております。
○喜納昌吉君 それじゃ、大臣は、大臣が持っている権限である指揮権を放棄しておるということなんですか、大臣。
○国務大臣(森英介君) 今お答え申し上げたとおりで、そんなことは申し上げておりません。
○喜納昌吉君 なぜ私がそういうことを質問するかといいますと、軍隊を統制するために我々はシビリアンコントロールがあるんですね。それは重要だと思っているんですね。同時に、検察機構を統制させるためのシビリアンコントロールも私たちは必要だと思っているんですね。だから、そういう意味での指揮権というものは、大臣の客観性というものが非常に試されるという私はものだと思っているんですけれども、どうですか、法務大臣。
○国務大臣(森英介君) 最初に申し上げているとおり、検察はあくまでも厳正公平、不偏不党を旨として、その捜査の対象がだれであっても、刑事事件として取り上げるべきものがあればこれに適切に対処しているものと思っております。また、検察当局において、政局に影響を与えようとするなどの政治的意図を持って捜査を行うことはあり得ないと確信をしております。
もちろん、法務大臣が検事総長を指揮するということは、法務大臣のその責任として確保されているわけでございますけれども、それを行使するしないは、もちろん十分な節度を持ってするべきであって、少なくとも現下において私が指揮権を行使しようということは、一切考えたことはありません。
○喜納昌吉君 一番強制執行権は持っていますが、検察がね。検察審議会というのはその後の審議会ですから、ちょっとあるんですけれども、その以前の、もし軍隊がちょっと暴走を起こすとか、検察が暴走を起こしたときのその一つの在り方として僕は指揮権があると思っているんですね。だから、その意味でも一つ、そういう観点から質問しているので、今回のことに関してという問題ではないんですね。まあまあ、それはさておいて。
憲法四十一条は、国会は国権の最高機関であると定めています。衆議院議員を選ぶ総選挙は、有権者、国民にとっても国権にとっても最も重要な政治的行事です。その総選挙の行方を左右するような出来事をつくり出すことは、国会の下位にあるいかなる権力機関もしてはならないという、これは四十一条の精神から明らかなんですね。
法務大臣、国会と検察庁との権力上の位置関係をどうとらえているのか。
○国務大臣(森英介君) それは、今申し上げましたとおり、検察当局においては、常に法と証拠に基づいて、厳正公平、不偏不党を旨として、その捜査の対象がどなたであれ、刑事事件として取り上げるべきものがあればこれに適切に対処しているものと理解をしておりまして、それは十分にそういったもろもろの根拠に基づいた上でのことでございますので、私はそのことについて全幅の信頼を置いているところでございます。
○喜納昌吉君 これ、今は全幅の信頼の問題ではないんですね。この法的な解釈でどちらの方が上なのかと言っているんですね、この国会と検察庁と権力上の位置関係を、それを聞いているんです。
○委員長(山下栄一君) 喜納君に申し上げますが、喜納君の御主張を先ほどから繰り返されていますけれども、大臣は大臣のお立場で明快に答えていると思うんですが、その大臣のお立場を超えた御答弁をお聞きですか。
○喜納昌吉君 ちょっと待ってください。いいですか、委員長。
○委員長(山下栄一君) じゃ喜納君、どうぞ。
○喜納昌吉君 これは大臣の個人的な心腹の問題ではないんですね。これ、ただ、憲法四十一条に沿って大臣はどうお考えですかと聞いているんです。国会は国権の最高機関であるとうたっているんです、これ、憲法四十一条で。そういう中で、要は、国会と検察庁との権力上の位置関係をどうとらえているんですかという、法務大臣に聞いているんです、私は。よろしく。
○国務大臣(森英介君) ちょっといま一つ御質問の趣旨が分かりかねますけれども、国会は国権の最高機関でありますけれども、同時に三権分立の重要性というのもこれは大切にしなきゃなりません。
○喜納昌吉君 いや、だから、三権分立というのを本当に権衡的に運営するためには、本当にこの国に三権分立が機能していることを考えなくちゃいけないですね。そうであるならば、検察という行政であるならば、もうちょっとその国会の運営に関しては配慮すべきではないですか、これは、選挙であるとか。そういうことを私は大臣に聞いているんです、これは。
○国務大臣(森英介君) 私は、今委員長がいみじくも御指摘いただいたように、私の立場できちんと答弁をしております。委員の御発言を聞いておりますと、あたかも私に指揮権を行使しろということを要請されているように聞こえますが、そうなのでございましょうか。
○喜納昌吉君 私が質問を受けてしまって、ちょっと困っているんですけれども。
とにかく、要は、一番強制執行権を持っている検察という組織が、ある暴走をしたり、違法行為をして不正をしたときのチェック機関は必要だという考え方あります、それならば、大臣。
○国務大臣(森英介君) 繰り返し申し上げますけれども、私は現時点において検察に全幅の信頼を置いております。
○喜納昌吉君 私も検察を非常に信頼しているんですよ。ただ、日本に民主主義が本当に機能しているかということを今確認しながら私は質問しました。是非、次はこの辺を準備して私の質問にお答えしてくださればと思っています。よろしくお願いします。
いいです、それじゃ、もう。どうもありがとう。
