沖縄及び北方問題に関する特別委員会
平成20年05月23日
○喜納昌吉君 民主党・新緑風会・国民新・日本の喜納昌吉です。
最初に、沖縄の離島振興を支える有村産業の会社更生計画変更の申立てについて一言申し上げます。
有村産業は一九九九年に会社更生法適用を申請し、事業を運営してきました。しかし、今年になってから原油高騰による燃料費の上昇が経営を圧迫し、資金不足が生じています。そこで、弁済額を分割し、返済期間を半年から一年繰延べする計画変更を裁判所に申請し、債権者にも通知しています。しかし、有村産業の債権の八〇%を有する国交省の外郭団体、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構がその計画変更に反対しています。この機構が反対を続ければ有村産業は船を売却せざるを得なくなり、離島航路が消滅し、沖縄県経済に多大なる影響を与えます。
今日はこの件で質問を準備してきましたが、今日の午後には司法の判断が下されるようなので、質問を差し控えておきます。
では、那覇市天久の高層マンション建設問題について質問します。
天久新都心は利便性の高い一等地と評価され、建設ラッシュが続いています。那覇市が新しい市役所を建てるために所有していたかなり広大な土地が民間業者に売却されたことから問題が始まります。この売却の背景には、那覇市が作成した地域再生計画である周辺環境調和型「亜熱帯庭園都市」による地域活力の再生を政府が認可した事実があります。ところが、周辺住民は、一つに、土地の払下げ価格が異常なほど安過ぎる、二つ目に、景観上の配慮が欠けている、三つ目に、環境調査不足などの理由で高層ビル建設に反対しています。また、住民は土地販売価格が不当に安いことから訴訟を起こしています。
以上のような事実関係を踏まえて、以下質問します。
政府はこれまでに、この問題に関して那覇市から事情をよく聴取したりとか、必要に応じて那覇市に報告を求めるなどの対応をしたいと答弁してきましたが、一連の答弁の後に那覇市に対し事情を聴取したり報告を求めたりしたことはありますか。岸田大臣、よろしくお願いします。
○国務大臣(岸田文雄君) この手続につきましては地域再生事業推進室の方からお答えさせていただきたいと存じます。
○政府参考人(上西康文君) お答えを申し上げます。
私ども、地域再生法に基づきまして、お話のありました再生計画について認定を行ったところでございます。私ども、認定を受けました地域再生計画については必要に応じましてその実施状況の把握に努めているところでございまして、那覇市の計画につきましても随時報告を求める等の適切な対応を図っておるところでございます。
○喜納昌吉君 公拡法修正以後、全国的に似たような問題が自治当局、住民、業者の間で起きています。法律に欠陥があるからではないでしょうかと思っています。
建設停止の命令がないなど住民に不利で業者に有利過ぎる法律の見直しをする考えはないか、国交省に聞きたいんですけど。国交省にその意見を大臣の方から求めたいんですけど、だれか。──これは失礼しました、私。失礼しました、私が間違えてしまいました。大臣でも、よろしく。
○国務大臣(岸田文雄君) 済みません、この法律についてはちょっと私、直接所管でありませんので、この法律のありようについては今申し上げることができませんが、今委員の方からそういった御指摘があったことを関係省庁に伝えるということは可能かと思います。
○喜納昌吉君 どうもありがとうございます。
公拡法の改正は、小泉政権時代の内閣府の規制改革・民間開放推進会議の提言が背景にあると言われています。その会議の議長は宮内義彦オリックス会長だったと思います。今回のマンション建設の開発にオリックスが入っているということで、那覇市がこの計画を強引に進める背景におかしいと勘ぐる人たちもいらっしゃるんですね。宮内氏が自ら経営する企業に利益誘導するために規制改革・民間開放推進会議を誘導したのではないかと批判する見方もあります。政府の見解を聞かせてください、岸田大臣。
○国務大臣(岸田文雄君) 規制改革会議のありようにつきましては、基本的に有識者会議であります。議長を始め学識経験者あるいは経済界の関係者等々、様々な有識者の合議組織ということになっています。
規制改革会議の結論はこうした有識者会議の合議の上でなされるものでありますので、個人的な事情が結論に直接入り込む余地は少ないんではないかというふうに規制改革を担当している大臣としては考えております。
○喜納昌吉君 それならば、もっとそれは住民の声を聴いて、地方行政の作業の進め方をもうちょっと丁寧にやっぱり沖縄担当大臣として見てくださいませんか。どうですか、この辺は。
○国務大臣(岸田文雄君) 規制改革担当大臣としましても、また沖縄担当大臣としましても、やはりこの現場の声というのはしっかりと尊重していかなければいけないと考えております。いずれの政策課題においても、多くの関係者、現場で頑張っておられる皆様方あるいは地域の皆様方、こういった関係者の声はしっかりと尊重していく態度、これからも大切にしていきたいと考えております。
○喜納昌吉君 次は、アイヌ民族について大臣に質問します。
二〇〇七年九月十三日の国連総会において、先住民族の権利に関する国連宣言が日本を含む賛成百四十四票で採択されました。外務大臣は昨年九月十四日の記者会見で、日本ではアイヌ民族を先住民族であると結論を出しておりませんと述べていますが、アイヌ民族を先住民族と認めない理由を説明してください。高村大臣、よろしく。
○国務大臣(高村正彦君) アイヌの人々は、いわゆる和人との関係において日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住していたことは歴史的事実であります。また、独自の言語及び宗教を有し、文化の独自性を保持していること等から少数民族であるとも認識をしております。御指摘の宣言には先住民族を定義付ける記述はなく、アイヌの人々がこの宣言に言う先住民族であるかについては結論を下せる状況にないということを申し上げているわけであります。
いずれにしましても、政府は、北海道が進めているアイヌの人たちの生活向上に関する推進方策が円滑に推進されるために必要な協力を行うとともに、アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律に基づき、アイヌ文化振興等に関する施策を推進しているところでありまして、政府としては、このような施策への協力又は施策の推進を着実に実施していくことが肝要と考えております。
この宣言による先住民族であると結論を下せる状況にない、定義規定がないから、そういうことだということを申し上げているわけでございます。
○喜納昌吉君 御苦労なされていることはよく分かります。
国連人権理事会は、人権状況の審査をした結果、先住民族の権利に関する国連宣言の国内適用に向けてアイヌ民族と対話するよう日本政府に勧告していますが、この勧告に対して政府はどのように対応していくつもりなのか、見解を聞かせてください。高村大臣、どうぞ。
○政府参考人(秋元義孝君) お答え申し上げます。
今委員がおっしゃいましたのは、五月の九日に国連の人権理事会におきまして各国の人権状況を定期的に審査します普遍的・定期的レビューというのが行われまして、その中で我が国の人権状況に関する審査が行われたわけでございます。その審査結果につきまして、この十四日には報告書が作業部会で採択されたわけでございます。
今回採択された報告書の中に、審査におきまして各国が行った質問あるいは勧告の要旨を記載してございまして、アイヌの民族につきましても勧告を行った国があることは承知しております。しかし、この勧告というのは人権理事会の総意としての勧告ではなくて、また法的拘束力を持つものでもございません。今回の作業部会で採択された報告書に記載されています各国からの勧告につきましては、その内容を精査した上で我が国の立場を伝達し、我が国の立場を含めた形で結果文書が六月に採択される予定であるということでございます。
○喜納昌吉君 国の在り方が少し、政府の在り方がちょっと分かりました。
北海道選出の超党派の国会議員がアイヌ民族の権利確立を考える議員の会を発足させ、政府に対してアイヌ民族も含めた有識者による協議機関の設置を求めていくことを決議しました。この決議に対してどのように対応していくのか、見解を聞かせてください、高村大臣。
○国務大臣(高村正彦君) 政府は、北海道が進めているアイヌの人たちの生活向上に関する推進方策が円滑に推進されるために必要な協力を行うとともに、アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律に基づいてアイヌ文化振興等に関する施策を推進しているところでありまして、政府としては、このような施策への協力又は施策の推進を着実に実施していくことが肝要だと考えているところでございます。
○喜納昌吉君 さっきから答弁聞いて、いわゆる非常にあいまいという、政治は黒でもない、白でもない、グレーだという感じがしますけどね。一番そういうものをよく使っているなと思いますね、自民党はね。それがいつまでもこのようなグレーな論理じゃ、私は自民党はやがて消えるんじゃないかと思っています。言わせてください。
政府は、アイヌ民族を先住民族と認めれば、土地や資源の補償を含むアイヌ民族側からの権利の主張が頻発して対応ができなくなるとの強い懸念があるのではないでしょうか。大臣、もう一度。
○国務大臣(高村正彦君) 要するに、アイヌ民族を先住民族と認定していない、認定ができない。これは、国際的に確立した先住民族の定義がなくて、宣言におきましても先住民族の定義規定がない、定義についての記述がない。そういう状況でありますから、アイヌの方たちが先住民族だと現時点で認定できないということにほかならないわけでございます。
○喜納昌吉君 それは、世界各国で定義がまだ確立していなければ、日本政府が定義を確立すればいいんじゃないですか。なぜそういう勇気がないんですか。そこに日本のすべての政治の問題が詰まっているのを知らないんですか。もし日本がこの問題を解決できれば、これは、拉致問題であろうが、北朝鮮も全部解決できます、これは。私、そういう勇気をひとつ政治家に求めたいと思っていますね。まだ質問したいんですけど、これは質問しません、もうこれは。
それから、政府は、アイヌ民族を先住民族として認めていないことによって、北方領土の領有権の主張がロシアや国際社会に対して弱まっているという考え方を持っていませんか。私はこの前、ロシアの総領事とも会ってきたんですけどね。なぜ先住民の土地があったということを素直に認め切れないかという、もしそういう視点からならばロシアは相談すると言っていますけど。どうですか、この辺は。
○国務大臣(高村正彦君) アイヌを先住民族と日本政府が認めたからといって拉致問題が直ちに解決するとも思いませんし、認めないからといって北方領土の問題に、解決に支障が生じているとは思いません。別の理由で今のような状況になっていると、こういうふうに考えております。
○喜納昌吉君 ちょっと知恵を働かせば、私ならば、今度は、国際先住民の宣言がなされていく中で、国連だって、ミャンマーのように保護する責任とか、ミャンマーの災害とかいろんな問題を見たときに、もう世界の、国際の安全保障の環境というのは、生態というのは変化しつつあるという。その変化に付いていくために日本が全く新しい理念を持ち上げていく必要があるとしてみたら、その意味でも早くアイヌの問題を日本の方が先駆けて消化するぐらいの力を持ってほしいですね。
一つの案として、北方四島を返すときに一つの島ぐらいは彼らに自治権を与えるぐらいの度量を日本政府が持てばすばらしいと思うんですけど、私は、自治権を。そうすれば、この北方四島に関して、日本だけではなくして世界中が応援します、これは。この辺はどうですか、高村大臣。
○委員長(市川一朗君) 質問ですか。
○喜納昌吉君 質問。
○国務大臣(高村正彦君) 日本政府が北方四島を我が国固有の領土だとして返還を求めていることにつき国際社会で広く理解をされていると、私はそのように思っております。残念ながらロシアが理解しないから返してくれないと、こういうことでありまして、何か今委員が御提案のようなこと、よく聞こえなかった、よく分からなかったんですが、もし、そうしたからすぐ解決すると、そういうふうには、残念ながらこの領土紛争というのはそう単純なものではないと、こういうふうに思っております。
○喜納昌吉君 単純なものではないからこそ政治家が解決するんですからね。ひとつ、世界の趨勢を見たときに、アイヌ民族の領土であったことは確かなんです、これは、歴史的に見ればね。だから、日本の政治家たちが、歴史を深く探ると利権が崩壊してしまうという構造があるんです、そこには。そういう利権につかまってそれを避けている間は、もう世界の趨勢からつぶされていきますよということがある。中国も台頭してくるし、アメリカも大きく動いているし、ヨーロッパは来年はEUが台頭してくるし、そういう変化に日本の政治能力が付いていけなくなっているという、それを全く反対側から攻めていくという方法もあっていいんではないでしょうかと。
そういう意味で、アイヌ問題というのは非常に、先住民族、非常に国際的な理念、何で動物が、自然には多様性が認められるのに、なぜ民族の多様性は認められないんですか、これ。高村大臣、よろしく。
○国務大臣(高村正彦君) 動物の多様性、生物多様性というのは非常に大切なことだと思いますし、人間の民族そしてそれに伴う文化の多様性というのも極めて大切なことだと思って、私は常にそれを尊重しているものでございます。
○喜納昌吉君 それならば、少数民族の権利の多様性も認めてくださいよ。動物以下にするのか、自然以下にしたいのか、私はこれを突き付けて、質問を終わります。よろしくお願いします。一言、最後に。
○国務大臣(高村正彦君) 先ほども答弁いたしましたように、アイヌが少数民族であるということは間違いないことだと思います。
私が申し上げているのは、この宣言に基づく先住民族であるかどうかということについてはにわかに断定できないと、こういうことを申し上げているわけでございます。
○喜納昌吉君 まだ許しますか。
○委員長(市川一朗君) ちょっと時間ですから。
○喜納昌吉君 許せないというものを、要はアイヌ民族の権利を受け入れてください、欲求を受け入れるような心を持ってくださいということですからね。彼らも欲求していますから、定義の問題じゃないです、これは。
○国務大臣(高村正彦君) アイヌの方も含めた人の権利、人権というのは極めて重要なものであると、こういうふうに考えております。
