国際問題に関する調査会
平成19年04月25日
○喜納昌吉君 新緑風会の喜納昌吉と申します。
寺島参考人にお聞きしたいんですけど、配付資料九ページのロシアのエネルギー帝国主義化は、エネルギー需給の安定化に向けて、ロシアとの関係は重大だ、深慮と正面から向き合う覚悟が求められると強調しています。誠にもっともなことと思いますが、ならば、日本にとっての長年の懸案である北方領土返還問題は、今後の対ロ外交交渉上どのように位置付けるべきなのか。領土問題を事実上、一時棚上げしてまでエネルギーの供給源をロシアに確保すべきなのか、それとも領土問題に拘泥しつつエネルギー確保を目指すのか、いずれの政策がよいのか。
また、同じ論文の十一ページ、中国への対応、省エネと環境は、中国を牽制する上で対欧関係が極めて重要との指摘があります。そのとおりですが、日本の現在の対欧外交は対米外交と比べて弱過ぎると思います。今後の対欧関係強化にどのような重点政策が必要なのか、この点で踏み込んだ意見をまず聞きたい。
そして、アメリカを国際社会から孤立させない、そして中国を国際ルールに引き込んでいくことに日本はどのような歴史的アイデンティティーと国際的ビジョンを持てばいいんでしょうか。
その流れの中で、特に沖縄の安全保障、あるいは経済、沖縄の役割はどういうものになるのか、寺島さんに聞きたいと思っています。よろしくお願いします。
それから高橋参考人には、四十八ページに、自衛隊が駐屯地としてイラク南部を選んだのは、日本の財界がイラク南部の石油開発利権の獲得を目指しているためとの見方が紹介されています。この点を掘り下げて説明してください。
〔会長退席、理事加納時男君着席〕
それからあと一つは、インターネットで流れている、九・一一はアメリカの自作自演であるということもひとつ説明していただければと思っております。よろしくお願いします。これだけです。
○参考人(寺島実郎君) それでは、北方領土なんですけれども、私、ワシントンに六年以上仕事をしているところに、ちょうど北方領土問題に関連して、サミットのアジェンダに、北方領土への共同宣言の中に北方領土問題を入れるかどうかというのは宮澤内閣のときの大変なテーマだったということであります。
宮澤さんはワシントンからサミットに行こうとしたときに、メディアの人たちは、ブレアハウスという彼が滞在している周りを取り巻いて、北方領土問題がサミットの共同宣言のアジェンダに入るかどうかがサミットが成功したかどうかのかぎだというような形で問い詰めて、日本は必死になって共同宣言の中に北方領土問題を入れる努力をした、事実入った。だけど、その後、じゃ、北方領土問題がサミットの共同宣言に入ったからといって何か進展があったかといったら、さっきの高橋さんのおっしゃったとおり一向に進展がなかった。
つまり、日本の外交の次元、今、ちょうど先生がおっしゃった質問のすべてに共通する、私の心の中にある問題意識なんですけど、日本の外交の次元をいい意味で進化させて上げていくという努力が我々自身にも必要だろうなと。主張する外交ということで、果敢に、うずくまっていたんでは駄目で、主張した方がいいんだという意見が最近多くて、例えばそれが拉致問題であったりあるいは北方領土問題であったり、主張する外交は大変重要なんですけれども、それを国際社会の中で思い込みだとか偏狭な自己主張だというふうに取られられない努力というのが物すごく重要だと思うんですね。
したがって、拉致問題を主張することが日本外交の目的みたいになったんではいけないんで、やはり東アジアの安定だとか、あるいは世界の大きな新しいルールづくりですね、様々な意味での。つまり、分かりやすく言うと、国境を越えた組織犯罪のようなテロだとか人道に対する犯罪を歴史の中でどういうふうに処理していくんだと。
ようやく僕も実はほっとしているんですけれども、ICCのような、国際刑事裁判所のような仕組みに日本もようやく入るという方向に踏み込んできたということが僕は一つのポジティブな状況だと思いますけれども、そういうたぐいのことに、要するに、世界の問題解決の仕組みに対して日本が貢献するというところから自己主張しないと、北方領土の問題も、あるいは拉致の問題も、ひたすら目が真っ赤になって主張しているけれども、その場では理解と共感を示してくれたとしても、解決のための仕組みが見えてこないというもがきの中に落ち込んでいくと思うんですね。
したがって、私が申し上げたいのは、ここは日本外交の次元を一つ上げて、二十一世紀の世界秩序というのはどうあるべきなのか。例えば、核の拡散についてどういうルールをもって対応していくべきなのか、IAEAにどういう視点でかかわっていくべきなのかという、そういう視点からの外交の構想力というものが問われてくるんじゃないかと。それがおっしゃった話のすべてにつながる僕は問題意識です。
それで、その中で沖縄の話に触れられたわけですけれども、沖縄が日本の防衛、安全保障の矛盾が集約している地域になっているということに関連して、先ほど申し上げたような問題意識が正につながるんですけれども、アメリカの方がはるかに柔らかい日米間の例えば同盟関係の将来の選択肢について議論しているということを、僕はここのところワシントンに行っていろんな人と議論して痛感するんですね。
どういう意味かというと、例えばハワイ、グアムの線までいわゆる前方展開兵力を引き下げたとしても、日本が日米安保の仕組みを柔らかく再設計して、六千五百億円ぐらい負担している駐留米軍経費を例えばある期間負担してくれれば、いわゆる緊急派遣軍的な対応で東アジアの安全保障のために日米の安保体制というものを柔らかく再設計するような構想というのはどうだろうかなんて質問を受けたりすることがあるんですけれども。
それは何を言いたいかというと、ホスト・ネーション・サポートで駐留米軍経費の七割をホスト・ネーションである日本側が負担しているなんていう仕組みはアメリカにとってはまれに見る条件の海外基地ですから、軍のビューロクラットという発想からすれば、できるだけそれを日本に展開しておきたいという気持ちを持つのは理の当然なんですけれども、そこを、今僕が申し上げたような、ピンを外して柔らかく考え直して、沖縄の基地を段階的に縮小していっても東アジアに軍事的な空白が起こらないような仕組みを構想できないだろうかというようなことで、例えば日米安保の将来を柔らかく検討し直すだとか、そういう柔らかい議論というのが日米の戦略的対話という中で行われるような状況を作り出していかなければいけないんじゃないかというのが一つの問題意識です。
〔理事加納時男君退席、会長着席〕
それと同時に、沖縄の産業ということでいえば、東アジア連携にとって沖縄のロケーションというのは非常に魅力的なところにありますので、いろんな意味合いにおいて、産業論的視点からいっても、今後、例えば金融だとか、あるいは省エネルギーに関する技術協力の基点だとか、そういう意味合いにおいて沖縄が果たしていくべき役割あるいは果たせる役割は大変に大きいと思っていまして、そういう枠組みの構想というものの議論にもいろんな形で参画しておりますので、沖縄は大変関心の中にあるということだけ申し上げて、トータルにパッケージにしてお答えしちゃいましたけれども、私の答えとさせていただきたいと思います。
