14 03月 2010

平成19年02月07日

posted by tetsuo okada

国際問題に関する調査会

○喜納昌吉君 私は、「美しい国、日本」というのは、日本一国ではなし得ないと思っているものです。なぜならば、もうこの地球上に六十五億人という人類が住み、この文明の浪費というものは、この地球の富がこたえ切れない僕は段階に達していると思っていますね。そして、人類というのは、もう未知なる世界、ジャングルとか海底をほとんど探検、冒険し尽くして、宇宙の神秘までも知り尽くそうとしている段階に達していると思っています。しかし、不思議なことに心の問題、特に民族的に言えばトラウマの問題としては、まだ手付かずというんですか、のような感じがします。
   〔会長退席、理事三浦一水君着席〕
 そこで、私、橋爪参考人に質問したいんですが、配付資料に含まれている橋爪参考人の著書「アメリカの行動原理」の第十二章の記述の中に、「日本がとるべき戦略」として、なるべく長く米国の覇権を維持させる、米国の足を引っ張るよりも、米国をおだてて、米国になるべく長く現状を維持させた方が日本の利益になるという趣旨のことが書かれております。ならば、沖縄の米軍基地に対しては文句を言わず、米国の希望に従って自由に使わせておくのが得策だ、沖縄は犠牲になれということになるのか、ひとつ説明願いたい。
 あと一つ。同じく配付資料にある二度目の小泉訪朝に関する「国交正常化を目的にしてはならない」という文章ですが、その中に、国交正常化とは要するに北朝鮮への経済支援である、北朝鮮にはのどから手が出るほど欲しいだろう、しかし我が国にとっては重要な課題ではないという記述があります。国交正常化とは果たして経済支援だけだろうか。現在の日朝関係のもつれは、本質的にはまあトラウマなんですけどね、戦前の日本植民地時代の歴史問題が片付いていないことに起因しているんではないかということですね。やっぱりそこに目配りしないのでは、余りにも短絡的だと指摘せざるを得ない。この点についての説明及び要するに経済支援だと主張する根拠を聞きたい。この二つですね。
 私は、日本こそが二十一世紀に理想を打ち立てる役割だと思っていますので、是非このトラウマという、一つの民族のトラウマ、歴史のトラウマというものをどういう示唆持っているかお聞きしたいです。このこと二点ですね。

○参考人(橋爪大三郎君) どうも御質問ありがとうございます。
 先年沖縄に参りましたときには、喜納先生のお歌も聞きに行っておりますので、御質問は重く受け止めました。
 第二番目の北朝鮮の問題からお答えします。
 これは先ほど申しましたように、北朝鮮を主権国家と考えるならば日本は一切介入できなくなるのですけれども、それをならず者国家と考えるのであれば、そもそも北朝鮮の人民を北朝鮮政府が保護していないという状況下で私たちは何かできることがないかというふうに考えていくということです。私はそういう考えから本を一冊書いたこともございますし、北朝鮮にも参りましたけれども、理想を言えば、現在の政権が一刻も早く交代して北朝鮮の人民の方々の苦難を救うような新しい政府ができればいいに決まっているわけですが、これは戦争そのほかの手段を使わない限り簡単には実現できません。
 そうすると、じゃ現実問題どういうことがあるかというと、非常に難しい選択になるわけで、例えば北朝鮮に対して経済援助をすれば、一部は北朝鮮の人民の方に回るかもしれないけれども、大部分は軍事費になったり現政権をむしろ強化してしまうことになって反対の効果になると。じゃ、北朝鮮に援助をしなければいいのかというと、それでは北朝鮮の方々が本当に困ってしまうと。
 どう転んでも私たちが願っている結果にはならないということで、これはもう本当に政治のプロが現実的にその場で情報に基づいて判断していかなければならないことなんですけれど、私が申し上げましたのは、国交正常化というものを我が国の政策優先順位の上位に上げる必要はないのではないか。もし上げるとすれば、それは北朝鮮の人民が幸せになり、私たちと友好的な関係が樹立されることでしょうけれども、現政権を前提にしたときに国交正常化を上位に掲げるのは問題だという、こういう判断です。これには別な判断も当然あり得るということは重々理解しております。
 沖縄の場合はこれより大変難しい問題です。
 沖縄に米軍基地があれほど集中している理由は、一つは歴史的な経緯で、日本国が降伏する前に米軍が沖縄を占領してしまったために占領統治が続き、講和条約のときにも一緒に独立できなかったという、そういう歴史的な経緯の帰結です。もう一つは、幸か不幸か、やはり戦略的、軍事的に大変重要な価値がある場所のようでして、アメリカにとってそこを出ていく動機が全くないということです。
 では、日本政府としてはこれをどうしたらいいかということなんですけれども、一面でアメリカのその軍事的な要求を十分理解しなければ日米軍事同盟がぐらぐらになってしまい、ということは日本国が独自に自衛力を用意しなければならないというふうになってしまうわけですから、これは取りたくない。しかし一面で、同じ日本国を構成する沖縄の方々が従来これだけの苦難を受け、現状もいろいろなことを堪え忍び、今後もそれを受忍しなければならないということを、じゃ選択しなければならないのか、これも非常に苦しい問題です。ですから、どちら付かずのあいまいなことを政府はやっているわけです。
 もし私が政府の当事者であったら彼ら以上のことができるかどうかということは自信を持っては申し上げられませんけれども、少なくともそういう沖縄県民の声というものを十分に考慮した上で、いわゆる政治のリアリズムですか、というものを実現していくということが政治の道ではないかと私は思うわけです。
 

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