本会議
平成17年07月22日
○喜納昌吉君 私、喜納昌吉は、民主党・新緑風会を代表し、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
今年は終戦・被爆六十周年です。私たちは、靖国に眠るみたまだけにとらわれず、沖縄戦や広島、長崎で亡くなった市民を含め、戦争で殺され、亡くなったすべての国民と諸外国の人々の魂に心を向け、争いの歴史に終止符を打つよう努めていかねばなりません。
仮想敵国の存在を前提とし、そこから撃ち込まれてくる弾道ミサイルに対し防衛するという自衛の形を取った軍拡である迎撃ミサイルの発射権限を定めた本改正案は、小泉首相による国民への明確かつ詳しい説明もなく、国民意思の確認がほとんどなされないままに、成立に向けて推進されています。それゆえに、誠に強引であり、極めて深刻な問題をはらむ結果となっています。
まず、国会軽視の法案提出の仕方についてですが、今回、政府は、防衛庁設置法、自衛隊法、防衛庁職員給与法等を一体のものとして国会に提出しました。これらは本来別個の法案として国会に提出し、別々に審議を尽くすべきものですが、簡単に事を運ぶことにより、国会審議を回避し、問題点を隠すため、一括採決にしたというこそくな意図が感じられ大変問題です。
我が国の防衛概念は、過去の軍国主義の反省から、シビリアンコントロールを大前提として組み立てられています。この法案に対して民主党は、主にシビリアンコントロール確保の観点から与党と修正協議を行いましたが、実質上ゼロ回答でした。
今法案によるミサイル防衛は、武器の使用を伴う限りなく防衛出動に近いものがあり、今までの自衛隊の在り方、日米同盟の在り方を根底から崩すものです。だからこそ、(発言する者あり)ありがとう。だからこそ我々民主党は、修正案で、ミサイル防衛をめぐる措置を、国会報告だけではなく国会承諾とすることを求めました。
国民全体の生命、財産にかかわる安全保障問題は、可能な限り多くの国民の合意を得ながら進めるべきであり、国会報告で足りるとする与党の態度は、我が国から真の議会政治を葬り去ることにもなりかねません。
大野防衛庁長官は、米軍への情報提供と集団的自衛権の関係について、日本防衛のための情報を米国に提供することは何ら武力行使と一体となるものではなく、一方では、米国防衛のための情報として米国に発信した場合は集団的自衛権に抵触する可能性があると言っています。集団的自衛権について質問した与党議員から、へ理屈のようだという発言がありました。
さらに、大野防衛庁長官は、今法案によるミサイル防衛の性質について、防衛出動命令前に持ち上がる問題は、公共秩序の維持や警察権の発動であって、軍事の側面はないと強弁しています。その上、命令前なのか後なのかによってミサイル防衛の性格が変わってくるとも言っています。そのことは、ミサイル迎撃という実際の行動は同じなのに、自衛隊が、命令前は警察権と称し、命令後は軍隊の本性を現すことを暗示しています。
そもそも自衛隊の成り立ちには、軍隊を目指しながら警察予備隊という名に隠れて出発するという、占領国米国によるごまかしがありました。こうした生い立ちの不幸と言うべき負の歴史が、依然、自衛隊に影を投げ掛けているのでしょう。
米国では、軍産複合体、MICが政府政策に深く関与しており、米軍は軍産複合体を生かし続けるため、絶えず戦争をしなければならない状態に陥っています。
今回のミサイル防衛に係る費用は、八千億ないし一兆円と言われております。また、ミサイル防衛システムの地対空誘導弾パトリオット3、PAC3を、米国から輸入せず日本で造ることになり、割高になる可能性があることが最近報道で明らかになりました。
この流れは、日本にも新しい利権が生まれ、軍産複合体が徐々に形作られている気配さえ感じざるを得ません。汗水流して働く国民の巨額の血税が利権と戦争のために使われないように、我々民主党は、有効性や費用対効果について引き続き厳しく監視していきます。
その際不可欠なのが、米国で行われたミサイル実験の詳細な検証です。しかし、政府は、実験結果は分かるが、詳細は一切非公表と、頑迷な態度を崩しません。国会議員である我々は一体どうやって検証、議論すればよいのでしょうか。ミサイル防衛の実効性が国会で全く明らかになっていないのです。
先日の沖縄及び北方問題に関する特別委員会の参考人質疑の際、在米軍事専門家の日高義樹参考人は、ミサイル防衛の軍事的有効性についての私の質問に対し、現時点では米国の軍人はだれ一人役立つとは考えていないと答え、現在の兵器体系としては勘定に入らないと明言しました。また、ミサイル防衛導入をめぐる日本側の動きについて、極めて政治的との判断を示しました。
使い物にならない公算が大きいのに、ないよりはましだ、まず買ってから考えるというのが政府の本音ではないでしょうか。安全保障について国会のチェック機能が働かない現状を大変危惧しています。
それから、米国にミサイル防衛の部品の一部を提供することになったことから、日本政府がその部品輸出を武器輸出三原則の例外としたことにも問題があります。
大野防衛庁長官は、今月十四日、外交防衛委員会での答弁で、米国に限定して輸出される日本製部品が米国経由で第三国に輸出される可能性を認めました。事前に日本の同意を得るという条件を付けること、また、事前同意を求められた場合には武器輸出三原則にのっとって検討すると述べています。
三原則の例外として米国に輸出される部品の第三国輸出を三原則にのっとって検討するとはこっけい以外の何物でもなく、正に、へ理屈の極みとしか言いようがありません。頭隠してしり隠さずのこのような詭弁が出てくるのは、第三国輸出が三原則に抵触するおそれがあるからでしょう。この点からも法案に反対すべき理由があります。
V2ロケットの生みの親、フォン・ブラウン博士の夢は宇宙飛行であったと言われています。しかし、ヒトラーは、人類の夢になるはずだったロケットを兵器に変えてしまいました。
弱肉強食の食物連鎖の頂点に立つ人類は、地球の富を奪うだけではなく、地球に恩返しをする義務も果たさなければなりません。他の動物と人間の決定的な違いは、道具や武器を使うことよりも、人間が夢を持ち理想を掲げるところにあります。
人類の精神は、戦争の歴史をいつの日か必ず超えるときが来るでしょう。アインシュタインやタゴールや孫文が夢見た、日本の姿に近づくためにも、私たちはロケットからヒトラーの野心を降ろし、人類の夢を乗せなければならないのです。
最後に、政府がこれまで取ってきた安全保障にかかわる国民に対する態度について申し上げたい。
国民を守るという名の下に、詭弁とへ理屈を弄し本質を隠すことが、いかに国を売り、失っていくことになるかを悟らなければならない。政府・与党は、六十年近く握ってきた政権と権力を失う恐怖から、国益の名をかりた利権と日米同盟に挟まれてもがいています。郵政民営化法案を契機に生まれた反対派の怒りは、正に利権でなく民衆の利益を優先させたい国民の心からわき上がったものです。この思いは、今や野党及び与党一部議員に共通する価値観となっています。
官僚機構だけでは国は守れません。国民の存在がまずあって、公僕としての官僚が国民意思に従うのが正しい構図です。政治や政府の役割は、国民意思を代表して国民と国の安寧を維持することです。
我々日本人は、国益と人類益を整合させ、狭い愛国心を国境を越えた人類愛に昇華させ、地球は一つ、人類も一つという理念を掲げて、大和の名にふさわしい大いなる和を打ち立てることではないでしょうか。
これで、私の今法案に対する反対討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。ニフェーデービル。ありがとう。(拍手)
